7.なぜACTが始まったか?その効果・各国への普及

ACT開発の背景

ACTは、1960年代後半にアーノルド・マークス博士、レオナード・スタイン医学博士、マリー・アン・テスト臨床心理学博士により、米国ウィスコンシン州マディソン市メンドータ州立病院の研究ユニットから発展しました。彼らは重い精神障害を抱えた入院患者が院内で身につけたことが地域でいかされず、頻回入院すなわち回転ドア現象を防ぐことができないことを実感していました。そのため障害を抱えた人たちの精神症状を軽減させる院内での24時間のケアが退院後にも同様に重要であるとの仮説を立てました。そして1972年にACTの原型であるTraining in Community Living (TCL)が開始されました。新たなモデルでは、再教育を受けた多職種の病棟スタッフを地域に移行し、家庭や職場に代表される社会的場面において、集中的なトリートメント、リハビリテーション、サポートサービスを提供しました。その後、TCLからACTに名称が変更となり、全米各地に広がっていったのです。

効果

 これまでに欧米を中心に行われてきた数々のACTの効果に関する研究結果を振り返ると、ACTが標準的なケアマネジメントよりも、精神病院への入院期間を減らし、地域生活を安定させる効果が高いことが明らかになっています。また、生活の質、精神症状、職業機能、利用者とその家族の満足度などに関しても一定の効果が上がること、さらに従来のサービスに比べて医療経済学的にも好ましい結果が得られることが示されています。

各国への普及

 ACTのオリジナル・プログラムが約30年前にマディソンで始まって以来、米国の41州で、また、カナダ、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、フィンランドなどでプログラムが遂行されてきました。こうした動きは1990年代以降、特にそれまでのサービス斡旋・仲介を主とする標準的なケアマネジメントの限界が実証される中で加速していきます。多くの国では、実証的研究により有効性が確認されているACTを、それぞれの国情に応じて精神保健福祉施策に反映させていったのです。




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