3.ACTの重要な概念

ACTの目的を理解するうえで以下の概念が重要であると考えられています。

-Recovery(リカバリー)

リカバリーとは、たんに治癒や回復を意味するものではありません。ある人が二度と精神医学的な障害を経験しなくなるということよりはむしろ、障害を抱えながらも希望や自尊心を持ち、可能な限り自立し意味のある生活を送ること、そして社会に貢献することを学ぶ過程を意味しています。そしてACTのサービスの根本的な目標は、利用者のRecoveryの過程を支援することだと言われています。そのために、ACTチームのスタッフには、重い精神障害を抱えている人々の可能性を信じ、そうした希望を伝達しうる能力が期待されます。

-ストレス脆弱性モデルによる理解と地域生活支援

ストレス脆弱性モデルは、生物学的に規定される個人の脆弱性(弱さ)にストレスが何らかのインパクトを与えることで、精神医学的症状の再発危険性が高まるとする仮説です。ACTによって提供されるサービスは、医療・保健・福祉まで幅広い分野に及びますが、脆弱性をカバーするための薬物療法と服薬管理、ストレスを減らすための環境調整、ストレスに上手く対応するための支援など、この仮説に基づいての介入が行われます。

-利用者のStrength(強さ・長所)に注目すること

精神障害を抱えた人が、自分の生活について判断し決定を行う権利と能力を有していることを、すべての人々の共通理解にすることが大切です。なぜなら、精神障害といえども人の意思能力・行為能力をすべて奪ってしまう状態は例外的な状態であり、精神疾患を持つものにも能力とセンスがあるからです。

-地域を中心とすること

精神障害を抱えた人たちが地域で生活することはあたりまえのことであり、入院とは例外的(急性期の治療のため)な状況であることを、すべての人々の共通理解とすることが求められます。医療・保健・福祉等のサービスは、地域に主力があるのであり、入院治療機関の役割は限定されるべきです。すなわち、入院は「緊急避難」であり、ケアの責任は地域でより強くもたれる必要があるでしょう。




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